不健康、早く老いることの原因は、肉体より精神にある。健全な精神といつまでも若々しく、溌剌さを保つためには、次の3つのことを意識して実践することと安岡先生は言われた。
1.心中常に喜神を含むこと
2.心中絶えず感謝の念を持つこと
3.常に陰徳を志すこと
具体的に解説するならば、
1つ目は、どんなに苦しいことに遭っても、心のどこか奥の方に喜びを持つこと
*喜神の「神」とは、深く根本的に指して言った心のこと
例えば、誹謗中傷を受けて、怒り心頭あるいは落ち込んでいるようなときに、「いわれのないことではあるけれど、世の中にはこういう理不尽なこともある。これが自分を磨く材料になると思えば結構なことだ」と発想の転換を行えば、自分を省みて成長させることになるだろう。
2つ目は、有難いという気持ちを絶えず持つこと
「有難い」とは「有ることが非常に難しい」という意味であるから、我々が、今、いること、有ること自体が「ありがたい」ので、感謝しなくてはならない。
3つ目は、絶えず人知れぬ善いことをすること
陰徳を積めば精神が溌剌としてくるだけでなく、良い運が巡ってくる。人の為にすることがやがて自分に返ってくる。悪いことをすれば、これもまた自分に返ってくる。事の大小を問わず、誰も見ていなくても、機会を見つけて陰徳を積む(善いことを行う)ようにすることが大切である。
「我々は、’’老いる’’ということが必至の問題であるにもかかわらず、とかく老いを嫌う。老いを嫌う間は人間もまだ未熟だ。歳とともに思想・学問が進み、老いることに深い意義と喜びと誇りを持つようになるのが本物である(安岡正篤)