「慎独」とは何か? それは、「自分を欺かない、自分に嘘をつかない」という意味である
江戸時代の人々が自分を鍛えるのに、とても重視したものに「慎独」がある。
自分をつくる要点は、「自分を欺かない、自分に嘘をつかない」ということである。
心の中で思っていることと違うことばかりいっていると、自分が自分を信用できなくなる。自分は他人に対していっていると思っているが、実は一番その嘘を聞いているのは自分自身だからである。 心と発言がいつも違うとなると、一体どちらを信用したらよいのか、自分で自分がわからなくなる。そして、さらには、真実自体がわからなくなってしまうのである。
真実がわからないで、そのとき、そのときの口先で発言するから他人からは信用されるわけがない。さらに自分が自分を信用できなくなるので、どこに本心があるのかわからない人間になってしまう。真に自分が思っていること、自分が思ったことを正しく表現しないということは、リーダーとしては、失格である。常に自分の心に忠実になることを「誠」というが、そうしたことと反する場合は「黙っている」ということが大切である。
「大学」の一説に「小人は閑居して、不善をなす」とあるが、
人の前では「紳士淑女」でいるが、人の目のない独りのときは、善くないこと、見苦しいこと、悪いことは、すべて独りの所で起こすものだといっている。
従って「独りのときに完璧」であれば、人の前ではもっと完璧になれる。独りのときこそが自己鍛錬の最も重要な場なのである。このことが自分の内面を磨く最良の方法で、これを続けていると内奥が美しくなり、その美しさが内側から発せられるようになる。これが「品格」であり、最良の訓練法なのである。
経営者、組織のリーダーは、独りのときこそ慎む「慎独」を忘れてはいけない。