「時に六龍に乗り、もって天を御す(易経 乾為天)」
龍は雲を呼び、雨を降らすといわれる。
そこから龍は「天」と「陽」を象徴する生き物とされる。
易経六十四卦の乾為天の卦には、龍になぞられて、
志の達成までの変化の過程が次の六段階で記されている。
○第一段階「潜龍」高い志を描き、実現のための力を蓄える段階
○第二段階「見龍」基本を修養する段階
○第三段階「君子終日乾乾」創意工夫し、独自性を生み出そうとする段階
○第四段階「躍龍」独自の世界を創る手前の試みの段階
○第五段階「飛龍」一つの志を達成し、隆盛を極めた段階
○第六段階「亢龍」一つの達成に行き着き、窮まって衰退していく段階
この六段階を「六龍」という。この六つの過程は朝昼晩、春夏秋冬の変化過程と同じであり、大願成就の天の軌道である。その時、その時に応じた働きがあり、その力を使いこなし、大いなる働きを成していくのである。
人生や事業経営も同様のことが言える。意に反して、良くないことや悪いことが自分の身に起こったとしても、それは一時のもので、状況はまた変わってくる。経営者・リーダーとして、一喜一憂し、反射的反応的になるのではなくて、その時期は、耐えて栄養を獲ることが肝要である。
種まきして、リーダー自身の栄養を蓄える段階であり、これが実に大事であるということをこの「六段階」は示唆してくれる。