2018.07.7
#87「今、なぜ古典なのか?古典を味読することの意義2」
めまぐるしく変転する現代社会を生き抜くには、時代を超えて変わらぬものに着目するのがよい。
変化だけに目を向けていては、翻弄されるばかりだからである。古典は、長い時を経てふるいにかけられた書物である。古典から人間と社会と学問に関する変わらぬ真理を吸収するのが、本当は最も早道なのである。
古典の読書には四つのメリットがある。(1)未来に対するビジョンが得られる(2)現代を読み解くキーワードが得られる(3)本質をつかむ訓練ができ、どうでも良いことに振り回されなくなる(4)過去の偉人の生きざまを追体験できる。
加えて、コミュニケーションに必要なツールも、古典は与えてくれる。他者を理解するには、自分とは異なるフレームワーク(考え方、価値観)がわからなければならない。こういうときに、古典は、時代を超え、地域を越え、自分と異なるフレームワークの存在を教えてくれる。すなわち、古典の味読を通じて、古今東西に見られる数多くのフレームワークを知っておけば、世界の理解がより容易になるのである。
尚、古典とは、賢者が残した言葉の集積である。混沌として先のみえにくい現代を力強く生き抜くためにも、賢人たちのこうした言葉をじっくりと味わうことが、大切である。しかしながら、古典を崇め奉って、感心ばかりして読むものではない。古典が教えてくれたことは、さっそく普段の仕事や生活で試してみると良い。こうして「古典を使う」ことによって、自分の好みと生き方がはっきりしてくるであろう。自分の好きなように古典を読んだり使ってみても、まったく構わないのだ。
*参照文献「座右の古典 鎌田浩毅 著 より」