2019.04.18
#116「天に事(つか)うる心」
すべて何事をやるにも、天に事える心でやることが肝要である。人に誇ったり、認めてもらうというような私心があってはいけない。
西郷南洲翁遺訓に「人を相手にせず、天を相手にせよ。天を相手にして、己を尽くし人をとがめず、我が誠の足らざるを尋ぬべし」とあるが、同じ意味である。天を相手にとは、天に事うることと同意である。天に事うるとは天を敬して己を尽くす「尽己」ということで、人間の実生活において最も根本的で大事なことである。自分をごまかしたり、欺かずに、己を尽くすことによって人間は真実の自分となり明徳が明らかになる。これによって、自己は自ら立つところの一隅を照らすことができる。この一燈を提げ、挑むことが、この世に生きる人々に成しうる最も肝要なことである。